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誰かを舞台に連れていく(1)
 『ギア-GEAR-』をハウスクエストのSさん(40代男性)と観る
 坂本秀夫
パフォーミング・アーティスト フルカワトシマサの死
 上念省三
誰かを舞台に連れていく(1) 
『ギア-GEAR-』をハウスクエストのSさん(40代男性)と観る
 坂本秀夫
 

photo by Kishi Takako

『ギア-GEAR-』

マイム:いいむろなおき、岡村渉、谷啓吾、大熊隆太郎、松永和也
ブレイクダンス:KATSU、達矢、YOPPY、たっちん、ワンヤン、じゅんいち
ドール:兵頭祐香、游礼奈、佐々木ヤス子、中村るみ、安東利香
マジック:新子景視、山下翔吾、橋本昌也、松田有生、福井陽翔人
ジャグリング:酒田しんご、Ren、渡辺あきら、深河晃、リスボン上田、宮田直人

演出:オン・キャクヨウ
舞台監督:小原悠路
舞台美術:柴田隆弘
大道具:柏木準人
映像製作:窪木亨。吉光清隆

3DCG制作:石橋和広
照明効果:松谷將弘。公文名創
音響効果:髙畠里乃
音楽:豊田奈千甫、西村淳、KATSU、三村真吾
振付:近藤良平、槇直子
特殊送風機製作:友井隆之
ウェアラブルLED+光ファイバーシステム開発:株式会社コマデン、株式会社
フィルノット
レーザー演出システムデザイン:藤本実、土田修平
レーザー制御装置開発:菊地秀人
小道具:坂井真央、多賀慧、竹内亜希子
衣装原案:山田章博
衣装制作:辻野孝明、森 朱希子、川崎貴子
メイク指導・管理:中嶋麻衣
イメージイラスト:山田章博
宣伝美術:重松よしこ、黒田武志、田代貞雄、細川夏樹
WEBデザイン・制作:山口良太、VISTA ARTS
コーディネーター:城戸遥
事務局:林るみ
制作:高畠里乃、小原悠路、林るみ
クリエイティブディレクター:窪木亨
プロデューサー:小原啓渡
企画製作:ART COMPLEX
主催:有限会社一九二八(ARTCOMPLEX1928)

 舞台関係でない方に舞台作品を観てもらい感想を聞いてみようという企画。
 関係者の中でだけ議論をしても、閉じた空間でのマニアックな話になってしまいかねないため、普段舞台を観ない方からの新鮮な視点での感想を聞いてみたいと思います。

 そもそも、芸術関係者からみて普段劇場などに行っていない方=「誰か」は、別に舞台を求めていないのでは? 必要としていないのでは? という議論もあり、始まりました。

今回の「誰か」》

 Sさん、40代前半、男性。不動産関係のお仕事。今回の劇場アートコンプレックス1928から徒歩5分くらいの場所に職場があり、特に中京区や下京区はメインの担当エリアで、アートコンプレックス1928の前をよく通っていたとのこと。『ギア』を観たことはないが存在は知っていた。

《お勤め先》

 ハウスクエスト(https://chintai.house-q.co.jp/)四条河原町店。

 京都の賃貸マンション・アパートやマンスリーマンションから貸家、貸家(町家)、新築さらに事務所用物件やテナント物件も。

 

坂本 お芝居とかダンスとか、舞台はあまり見に行かれないんですよね?

S 初めてですね。本当に初めて。

坂本 『ギア』をご存知だったとのことですが、何で知ってたんですか?

S なんか、CMとか雑誌とかに載ってたり、一時テレビCMやってましたね。(※情報番組での紹介と思われる)

坂本 市バスかなんかで宣伝してたのは覚えてるんですけど

S なんか、テレビで見ましたよ。

坂本 あ。そうなんですか。すげぇな。職業柄、京都市内の土地建物に敏感だからとかは?

S 全然ないですね。(笑)

坂本 じゃぁ、お仕事の関係で『ギア』について特に聞いたりとかは?

S いや、べつに。特に(笑)。ただ、担当エリアなのでよく前を通るんで、一回観てみたいなとは思ってたんで。

坂本 あ、そうなんですか。京都のこの辺の人はみんなギアの存在を知ってるんですかね?

S 京都に住んでるというか、この辺を歩いてる人やったらみんな知ってるんちゃいます?

​▽写真左上:Sさんのお勤め先「ハウスクエスト」 右上:インタビュー時のテーブル

左下:京都市バスの側面広告 右下:Pokémon GOのポケストップにもなっていた

『ギア-GEAR-』とは?

 日本発×日本初のノンバーバル(=言葉に頼らない)パフォーマンス。

 光や映像と連動したマイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングによる迫力のパフォーマンスで感動のストーリーを描くと共に、セリフを使わない “ノンバーバル”という演出により、小さなお子さまから大人まで、そして外国の方までもが、言葉の壁を越えて楽しんでいただけます。

 『ギア-GEAR-』は大きさや形、色の異なる歯車が噛み合い、大きなうねりを生み出す日本独特の和の文化である「調和」をテーマとして公演を開始。

 2019年4月に京都ロングラン8年目に突入、100席限定の劇場で観客動員数23万人を突破しました。

 (『ギア』ウェブサイトより)

 

坂本 お客さんめっちゃ入ってましたね。平日の昼なのに。

S ほぼ満席でしたよ(笑)。

坂本 女の人が多いかと思ったけど、男の人も半分ぐらい。

S そうですね。半分ぐらいちゃいますかね。

坂本 そうですね。

S 観光客なんですかね? 外国の方も多かったですね。

坂本 ああ、どのぐらいの割合なんだろう。ノンバーバルということで喋らないから、外国人客も当て込んでいるのかなと思います。

S 喋るよりも伝わって来るなあっていうのはありますね。あれで喋られても外国の人には伝わりにくいんちゃうかな。

坂本 日本人の観光の方もいたでしょうね。

S そうですね。これを観るために京都に来る人もいるんちゃいますかね? 内容がしっかり作られている部分、面白かったと思うし。でも、必ずしも観光客向けというわけでは、ないんじゃないですかね。ああいう芸っていうか目指してる人とかには、刺激的やと思うし。

坂本 気になった出演者とか、ここがスキここがヘンとか、具体的に、どうでしょう。

S 赤い服の人が、面白かったですね。動きが。

坂本 あのマイムの人。

S そうですね。

【キャスト】

マイム・岡村渉
ブレイクダンス・たっちん
ドール・佐々木ヤス子
マジック・Ren
ジャグリング・松田有生

      (観劇当日、2019年10月16日公演の出演者。写真とは一部異なります)

 

【公演履歴】

2010年 1月第1回トライアウト(道頓堀) 2011年末まで、各所で5回のトライアウトを重ねる

2012年 ロングラン公演をART COMPLEX1928で開始

2015~16年 ロシア公演を実施

 

坂本 8年で3,000公演達成だそうです。

S すごい回数。(笑)

坂本 継続してやっていて、やりきってるのが、すごいですね。

S すごいですね。クオリティが高くて、飽きないと思いますよ。もう一回観たいと思います。初めて観ましたけど、よかったです。いろんなジャンルのパフォーマンスがミックスされていてすごいおもしろい。全部が、なんかエンターテイメントの総合、みたいな。

坂本 そうですね。なんていうか観やすかったですしね。

S 観やすかったですね。途中からでもなんとなく内容がわかるような。

坂本 ああ、芝居仕立てだけど芝居の部分がシンプルだから。

S そう。わかりやすいんで。なかでも、出演者の身体の動きで進めていくというのが面白かったです。

坂本 こういう、いわゆるエンタメ系作品だから最後ハッピーエンドかと思ったら、切ない感じで終わりましたね。

S 泣いてる人いましたよ。(笑)

坂本 本当ですか? すごいですね。

S 笑いあり涙あり感動ありの、たぶん総合エンターテイメントっていうんだろうなと思いました。新感覚なんやなと。

坂本 こういうタイプの作品は少ないし、試みとしても珍しい。内容もですし、ロングランしていくという形態としても。それこそ四季とかディズニーとかすごい大手しかやっていないから、そうじゃないところからこういったタイプの舞台を、それも小規模の小屋でっていうのはね。

S このサイズ感もいいですけどね。客席との一体感も。あんまり広すぎると違ってくるのかなと。

坂本 そうですね。7,80くらいですかね。

S パフォーマーが5人ぐらいで、このサイズっていうのが、ちょうどいいんでしょう。出演者と観客と見ている分には吸い込まれていくようなサイズなんで、あれがだんだん広くなるとやっぱり、もうちょっと出演者も増えないとあかんだろうなとは思いますけどね。

坂本 ああ、なるほど。そうですね。

S お客さんを増やすのであれば箱のサイズを広げてもいいでしょうけど。

坂本 大劇場の方が、成功すれば採算をとりやすいでしょうけど。

S そうですね。たぶんそれは間違いない。

坂本 ただ滑ったら大劇場の方がひどいですけどね。

S リピーターみたいな人もいはりましたもんね。

坂本 そうでしたか!? あ、でもキャストがそれぞれの役で数名いるみたいだから、それぞれのヴァージョンを見たいかも。

S そうですよね。

坂本 ありがとうございます。けっこう伺えました。なにか他に感想ありますか。何でもいいんですけど。

S あの、グラフィックというか

坂本 照明というかプロジェクションマッピング、すごかったですね。凝ってましたね。

S ほんまにもう、アトラクション系というか遊園地みたいで。

坂本 そうですね。とっつきやすくてよかったですね。僕もジャグリングを生で見たの、久しぶりでした。

S 私は生ジャグリング、初めてでした。初めてというか、遊園地行った時とかしかああいったものを見る機会がないんで。こんな舞台でジャグリングとか。

 

坂本 ところで、労働者は、なかなか劇場に行かないんじゃないかということが話題になってるんですが。

S うーん、そんなことはないんちゃいますか? 労働者……、働いてはる人がってことですか?

坂本 そうですね。

S いやいや。そんなことはないんちゃいますか? 行ってはるでしょう。劇場って、どういう?

坂本 演劇やダンスのインディーズ(小劇場系)のことなのか、それこそ音楽とかも含めるのかですけど。

S いやーそれはでも、それでも「労働者」」も行ってるんちゃいますか? やっぱ好きな人は。

坂本 Sさんは、音楽かなんかされてたんですか?

S 昔……4。

坂本 そうなんですか? バンドマンだったんですか?

S バンド、そうですね。

坂本 あ、だから!

《やってみて》

 今回、お話してから知ったのですが、いやに素養のある言葉が出てくると思い聞いてみたら、なんとSさんは若い頃に音楽をやっていたとのことでした(スカパラ系のバンドで、トロンボーン)。


 企画の裏テーマ的なものとして、「労働者(芸術関係でない方)はなぜ劇場にいかないのか」というものがあり、その辺を掘り下げることができればという部分もあったのですが、「労働者も劇場に行っていないわけではないのでは?」という方向になってしまいました。
 

 地域にもよるのかもしれませんが、京都では普通の会社員の方が「日本舞踊やってました」とか「趣味で絵を描いています」というようなことは、たまにあることなので、そういう意味では京都的かもしれないとも思いました。特に京都は有名なライブハウスが多いようなので、音楽に造詣が深い方は多い印象です。

 「労働者はなぜ劇場にいかないのか」という設問に関しては、設問を小劇場関係の話に限定せず、「労働者と芸術文化(演劇やダンス以外の音楽等も含める)」と考えるのであるならば、表に出さないだけで、やはり意外と芸術文化に触れている方はいるなあということかと思います。
 

 また、小劇場と労働者、という枠で考えれば、「職場の近くに評価の高い作品をやっているのに何故観に行かないのか、そもそも何故知らないのか」という、不幸な断絶があったわけではなく、今回の作品を認知しており、興味も持っており、演劇は初めてだか音楽で小サイズの箱に慣れているということで、「機会があれば行ってみたかったから、行けてよかった」という結果でした。
 

 これは、「ギア-GEAR-」公演の継続性、地域性、及び大規模かつ戦略的な宣伝、広告が非常に上手く機能していたという例のように思います。舞台に興味がない方にも存在を知ってもらう、ということの大切さを大きく感じました。ですので、気まずい踏み込んだ議題になるかと思っていたのですが、全くそんなことはありませんでした。「ギア-GEAR-」という作品の良い部分が物凄く出た企画回だったと言えるとも思います。


 反省点としては、こちらの準備不足を感じました。ここまで芸術的素養のある方なのであれば、もっと前衛的な作品を見て感想を聞いてみてもよかったかもしれませんし、インタビューに関しても小劇場に限定した踏み込んだ質問などを聞いてみてもよかったかもしれません。あるいは本当に芸術文化に無縁な方を対象とするもの面白いかもしれません。今後に活かしたいと思います。

 労働者は劇場に行かないのでは、という問いに「そんなことないんちゃいますか」と返されたのは希望を感じました。

 

​■坂本秀夫(さかもと・ひでお)AICT関西支部事務局長、演劇研究、ライター。京都のことを中心に書ければと思います。​
 

パフォーミング・アーティスト フルカワトシマサの死
 上念省三
 

1994年6月、大阪市中央公会堂 中集会室、フルカワトシマサ・パフォーマンス・プロジェクト「Walking Steps」

​撮影:金子泰久

【フルカワトシマサ】

 

1986~1990年:ART NOISE LIMITED WORK 1~9[旧摩耶観光ホテル/東京・テレプシコール/京都・西部講堂他]


1992~1993年:Walking Step 1~7[大阪/京都/東京/ドイツ/オランダ/フランス/スペイン]

1994年:レオナルド・ダ・ヴィンチの憂鬱 [伊丹・AI・HALL]

1994~1997年:Walking Steps Ⅰ~Ⅲ

1994~2015年:クライン文庫経営

2019年:戯曲「ヤクタタズ!」-AAF戯曲賞最終候補5作品にノミネート

 フルカワトシマサというパフォーミング・アーティストと、何年かおきに交錯していた。最初が中央公会堂のWalking Stepsだったんだろうか。それについてわりとメジャーな雑誌に書いた。その雑誌に連載を始めた頃、というよりも、文章を公にすることを始めた頃だったので、体験や思考を文章に定着してしまうことがとても不安で、事実関係に間違いがあったらいけないから、ということだったのだろう、掲載前にフルカワに見せた。あの少し甲高い声で「ええんちゃいますか」と言われたように思う。それが25年ぐらい前のことだ。

 彼はクライン文庫という古書店を経営するようになっていて、その縁でも何度か呼ばれて、座談会に出たり、店の出す目録に短文を寄せたりした。パフォーマーとして、イヴ・クラインをめざしていたのかもしれない、ブログのタイトルを「暗陰日記」(くらいんにっき)とつけていた。その2009年7月の記事に「フルカワトシマサを、グーグルで、検索する。」というのがあって、中央公会堂、扇町ミュージアムスクエアの公演評が並んでいる。どうも読んだことのあるようなと思ったら、どれもぼくの文章だ。こんな文章だ。

 

 人がある行為を始めるためには、いったいどのような契機が必要なのだろうか。それをフルカワは、たった一人のパフォーマンスにおいて自分で見つけなければならない。あの光の中で(照明=岩村原太)時間にわが身を沿わせ、その時間を自分が進ませるものとして第一歩を踏み出すために何を探っているのかと、見る者をはらはらさせる数瞬だった。水を張ったステージをぼくたちは取り囲んでいた。フルカワは時折足の指先を小さく動かして、水面に波紋を与えていた。その水紋はライトに反射され、壁や天井に美しい波紋を投げた。神経質に細かい動きを見せる彼は、とても無防備な、不安げにも見えるような表情で、観客を何度かぐるっと見つめたりした。高橋睦郎の詩集『動詞II』(1978年)に「立っているものが悲劇的に立っているなら、腰掛ける者も悲劇的に腰掛けているのでなければならぬ。歩き出す者も悲劇的に……以下同じ」という断章があるのを思い出した。これから始まる何ものかに耐えているような姿勢だったように思う。

 いきなりの右足だった。

(「現代詩手帖」1994年8月号「わたくしは何によって悲哀を感受する存在であるのか」)

 

 引用しながら、その緊張感、フルカワの潔さをはっきりと思いだす。フルカワはぼくの文章を引用して、最後に一行「良き理解者。無断転用。感謝。」とある。ほー、そうだったのか。

 戯曲を書いたので読んでほしいという連絡があったのは、2017年のことだ。7月に、「今、相模原事件をテーマにした戯曲に、取り組んでいます。」とメッセンジャーで連絡があり、続いて「じょうねんさん、態変とかとも深いやん。読んでほしいねん」とかなんとか電話してきて、台本はメールで来たけど、読まずに今に至ってしまった。

 もっと最近になって、劇場や福祉関係のシンポジウムでよく姿を見かけた。古書店を畳んで、聴覚障碍者施設で働いていたらしい。何度か声をかけたりかけられたりしたし、何度かはそのまま帰った。

 その戯曲「ヤクタタズ!」プレイベントを10月13日、リーディング公演Iを10月22日に開くので「ぜひお越しください」とメッセージが来たのが10月1日。戯曲の三分の一程度を二通りに読んでみせたリーディング公演の会場で「来てくれて、ほんまありがとうございます」と少し他人行儀に言っていた彼は、そこではパフォーマーとしてではなくコーディネーターあるいはヴォワイヤンとして立っていて、壁にもたれて舞台上の役者たちを、とてもうれしそうな好々爺のような表情で見ていたのを、ぼくは見ていた。この公演についての所感は、改めて全編を上演する機会が計画されているようなので、そのうえでしっかりと書き留めたいと思う。

 24日には、翌25日のT-6のオープニングイベントにパフォーマーとして出るのでという誘いが来た。25日の朝、「ヤクタタズ!」リーディング公演で「聾の男」を演じたサイン・パフォーマー、ターカの長い感想が転送されてきた。

 そして25日19時開演のT-6オープニングイベントで、フルカワは死んだ。

 窒息パフォーマンスとでもいうもので、コンビニの白いポリ袋をかぶって首のところで締めておき、ややあって倒れるという、自殺を模したパフォーマンス。よく人は自分で息を止めては死ねないと言われている、それをややアイロニカルに現実化したものといっていいだろう。本当に人は自分の意思だけでは死ねないのだろうか。彼はリハーサル通りに倒れ、リハーサル通りに20分近く倒れたままでいて、リハーサルとは違って起き上がって来なかった。念のため書き添えておくが、全てが計画通りに進んでいたわけで、劇場や舞台の関係者に、なんの落ち度があったわけではない。解剖の結果死因は窒息ということだったようだが、人は自ら息を止めては死ねないはずだったのではなかったのか。

 そんな話は、27日にほぼ予定通り開催されたt-6オープニングイベント3日目や通夜の席で聞いた。なかなかに衝撃的な最期だったので、報道を受けたSNS等では、事情を知らない人たちから一方的な非難の声もあった。事の次第を調べもせずに、劇場やスタッフを詰るような舞台関係者までいたことには、やりきれない思いがあった。

 いろいろな思いはあるが、最後に残るのは、残念だ、悔しいということだけで、それは彼も同様の思いがあるだろう。陳腐な挿話だが、通夜の席で一人離れて自販機の前に座っていたら、ふと目の端を背を丸めた黒っぽいジャンパーのフルカワのような影が通り過ぎた。まだ自分でもよくわかっていなかったのかもしれない。こっちだってまだよくわかっていないんだから、当然のことか。フルカワが世界的なパフォーミング・アーティストであったということを何とか語り継いでいきたいのだが、ハプニング系のパフォーミングアートというのは、本当に残らない。残らない/残さないことが目的みたいなところもあったんだろうからやむを得まい。今はまだあまり追悼文めかした感動的な言葉を書き付けたくないので、事情を説明する程度のこのような文章で、ご容赦いただきたい。

■上念省三(じょうねん・しょうぞう) 明石市生まれ、神戸育ち。1991年ごろから芸術全般の評論活動を始める。「JAMCi」「PAN PRESS」「劇の宇宙」「京都新聞」「現代詩手帖」「ダンサート」「バレエ」「宝塚アカデミア」「シアターアーツ」等に寄稿。

・ヤクタタズ!第一弾リーディング公演上映会
 2020年2月1日

 ドーンセンター・パフォーマンススペース

・フルカワトシマサを偲ぶ会
 日時:2020年3月21日 17:30開演(17:00開場)
 会場:ドーンセンター・パフォーマンススペース
 フルカワトシマサの往年のパフォーマンス作品を上映

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